ここ数年で、AIツールは「試しに触ってみるもの」から「仕事に組み込むもの」へと立ち位置が大きく変わりました。
特にフリーランスにとって、この変化は無視できません。
理由はシンプルで、同じ時間で出せる成果の量と質に、はっきり差が出始めているからです。
文章の下書き、調査、資料作成、コードのたたき台、表計算の整理……。こうした作業をすべて人力でやっていると、どうしても時間が足りなくなります。一方で、AIをうまく使っている人は、「考えるべきところ」に時間を使い、それ以外はAIに任せることで、より多くの仕事を、より安定した品質で回せるようになっています。
ここで大事なのは、AIに仕事を奪われるかどうかではなく、AIを使って仕事をする側に回れるかどうかです。
とはいえ、実務でAIを使おうとすると、「結局どのAIを使えばいいの?」「どこにAIを使えばいいの?」と迷う方も多いと思います。そこで今回は、基礎として押さえておきたい6つの用途に分けて、フリーランスの実務で使いやすいAIツールを紹介します。
AIの選び方

そもそもどのAIを使うかってどう選べばいいの?

AIを選ぶ時には、いくつかの判断基準があります。まずはAIの選び方を解説します。
用途によって選ぶ
AIツールを選ぶときに、つい「一番有名なもの」「何でもできそうなもの」を選びたくなります。しかし結論から言うと、AIは用途別に選ぶべきです。なぜかというと、AIにも得意・不得意があるからです。
- 長文の整理が得意なAI
- コードの補助が得意なAI
- 情報収集と要約に強いAI
- 資料の作成が得意なAI
などのように、AIごとに特徴が異なります。フリーランスの仕事は幅が広い分、それぞれの作業に適したツールを組み合わせたほうが、結果的に時短にもなり、品質も安定します。
使いやすさで選ぶ
もう一つ大事なのは、「自分にとっての使いやすさ・相性」で選ぶことです。たとえ評判が良いツールでも、操作が直感的でなかったり、出力の癖が合わなかったりすると、使うのが億劫になって結局使わなくなります。
AIは「継続して使って初めて価値が出る道具」なので、UIの分かりやすさや、日本語でのやり取りのしやすさ、出力の傾向なども、立派な選定基準になります。
料金で選ぶ
料金も大事な判断基準です。
無料プランで試せるもの、有料プランで本領を発揮するものなど、ツールごとに前提が違います。まずは無料や安価なプランで試し、仕事で使えると実感できたものにだけ課金する、という順番がおすすめです。
その他
追加の注意点としては、生成物の著作権や利用条件、出力の正確性などがあります。
たとえば、AIによっては、生成したものを商用利用できるのは有料版のみ、などとなっている場合もあります。そのあたりもチェックした上で、自分の業務で活用しやすいツールを選ぶのが大事です。
留意すべきなのは、AIはあくまで補助ツールであり、最終的な責任は自分にあることです。この前提を忘れずに、「仕事の質とスピードを上げるための道具」として選ぶことが、失敗しないAI活用のコツです。
用途別おすすめAIツール

ここからは、具体的なAIツールを紹介していきます!
今回紹介するのは次の6つです。
「まずはここから始めればOK」というAIツールをピックアップしているので、AIにあまり慣れていない方でも実務に取り入れやすいはずです。
文章作成:Claude(クロード)
文章まわりでまずおすすめしたいのが Claude です。
Claudeは長文作成に強く、長めの文章でもわかりやすい構成で作成してくれます。
たとえば、
- ブログ記事の構成案を作る
- 長い文章を要点だけにまとめる
- 下書きを読みやすく整える
- クライアント向けの文章にトーンを調整する
といった作業をかなり高い精度でこなしてくれます。
「何を書けばいいかわからない」という時にも、今、自分が考えていることを一通りClaudeにいれると、それをきれいに整理して文章化してくれます。白紙から書き始めるストレスが減るだけで、執筆や資料作成のスピードは大きく変わります。
一方で注意したいのは、事実関係のチェックと最終的な表現調整は必ず自分で行うことです。
Claudeはあくまで「アシスタント」。内容の正しさや責任は、最終的に自分が持つという意識は欠かせません。
AIライティングについてもっと詳しく知りたい!という方はこちらの記事もどうぞ。
画像生成:Gemini(ジェミニ)
画像まわりではGeminiがとても便利です。
生成したい画像のイメージやタッチ、カラーなどを指示すると、驚くほどクオリティの高い画像を出力してくれます。
たとえばこんな指示を出してみます。
アニメタッチで、ピンクのリスの画像を出力してください。
出力されたのはこちら。

かなりのクオリティですよね。
ただし、完成品をそのまま納品するためのツールというより、イメージを可視化するためのツールとして使うのが現実的です。
たとえば、
- ブログのアイキャッチの雰囲気案を出す
- サイトデザインのトーンの方向性を探る
- 資料に入れるイメージカットのたたき台を作る
といった用途で使うと、「頭の中のイメージを一度外に出す」作業が一気に楽になります。
デザイン作業で意外と時間を取られるのが、「そもそもどんな方向性にするか」を考える工程です。Geminiを使えば、複数案を素早く並べて比較できるので、意思決定のスピードが上がります。
ただし、実案件で使う場合は商用利用や権利関係の確認が必須です。
最終的なデザイン調整や仕上げは人の手で行い、「Geminiはアイデア出しとラフ作成用」と割り切って使うのが安全です。
AIの画像生成についてもっと深堀りしたい!という方はこちらの記事もどうぞ。
Excel作成:Copilot(コパイロット)
地味に時間を奪われがちなExcel作業。ここで強い味方になるのがCopilotです。
Copilotは、表の作成、関数の提案、データの整理や要約など、手作業だと面倒な部分をまとめて肩代わりしてくれます。
たとえば、
- 「このデータを集計する表を作って」
- 「この目的に合う関数を提案して」
- 「この表を見やすく整理して」
といった指示だけで、作業のたたき台を一気に用意できます。
もう一つ便利な機能として、表が掲載されている画像やPDFファイルを読み込ませると、そのままエクセルに変換してくれること。いちいちPDFから手作業でエクセルに記載する手間が省けます。
たとえば、こちらのデータ。

Copilotにいれると数秒でこんなエクセルにしてくれました。

かなり便利です。
もちろん細かい数値のチェックは自分で行う必要はありますが、ゼロから作る工程を丸ごと短縮できるのは大きなメリットです。
調査:Perplexity(パープレキシティ)
調査用途ではPerplexityが非常に優秀です。
最大の強みは、出典を示しながら情報を整理してくれることです。
たとえば、
- 新しい技術やサービスの概要を知りたい
- 複数サービスの違いを比較したい
- 最近の動向をざっくり把握したい
といった場面で、まず全体像を掴むのに最適です。
試しに以下の指示を出してみます。
文章に強いAIを3つ選んで比較して
すると出力されたのがこちら。
ざっくり特徴
- ChatGPT(OpenAI)
汎用性が高く、ブログ・セールスコピー・チャット・コードなど、ほぼ何でもそつなくこなす万能型です。- Claude(Anthropic)
長文・論理構成・自然な日本語が得意で、レポートや記事など「読みやすさ重視」の長文特化型として評価されています。- Gemini(Google)
Google検索やドライブなどとの連携を活かした調査・要約・レポートに強く、情報整理が得意なリサーチ寄りの文章生成に向きます。主な比較ポイント
項目 ChatGPT Claude Gemini 得意分野 汎用ライティング全般、アイデア出し、会話形式の下書き。 長文記事、論理的な説明、自然な日本語文体。 調査レポート、要約、Google連携を活かした情報整理。 文体の自然さ o1系モデルなどは人間的な自然さが非常に高いとされる。 日本語の読みやすさ・一貫性に定評がある。 場面によってはやや説明口調だが、レポート向きの堅めの文体が得意。 長文耐性 長文も書けるが、非常に長い文書では他モデルより若干弱いとされるケースあり。 非常に長いコンテキスト(20万トークン級)に対応し、長大な文章でも一貫しやすい。 大量情報をまとめるのが得意で、データを踏まえた長文レポートに向く。 情報の新しさ モデル自体は静的だが、製品としてはWeb情報も扱える構成がある。 主に「手元の情報を深く読み込んで整理する」用途で評価されている。 Google検索との連携を前提とした設計で、最新情報を踏まえた文章生成に強い。 向いている人 まず1つ選ぶならこれ、という定番。ブログ、SNS、ビジネス文書など用途が広い。 論理的で丁寧な文章が欲しい人、レポート・コラム・教材などを作る人。 調査+要約+文章生成をまとめてやりたい人、Googleサービスをよく使う人。 用途別のざっくり選び方
- ブログやSNS、営業メールなど幅広く使いたい
→ ChatGPT が最も扱いやすく、情報も多くて学びやすいです。- レポート・論文調の説明・丁寧な解説記事を作りたい
→ Claude が構成と論理のわかりやすさで有利です。- 調査しながらレポートを書く、資料をまとめることが多い
→ Gemini が検索・ドライブ連携込みで効率的です。日本語ライティングでの実務感
- 日本語の自然さ・長文化
Claude > ChatGPT ≧ Gemini という評価が多く、特に長文で差が出やすいとされています。- 汎用性・情報量・テンプレ事例
ChatGPT は使い方の記事やプロンプト例が非常に豊富で、学習コストが低いのが強みです。- 調査込みの文書作成
Gemini は検索・要約込みの一連の作業を1ツールで回しやすく、資料作成の効率化に向きます。どれを試すべきか
- 1つだけ選ぶなら
→ ChatGPT(最新モデルを使えるプラン)を軸にしつつ、長文品質が重要なら Claude をサブで試すのがおすすめです。- リサーチ重視の仕事なら
→ Gemini を併用し、調査と要約は Gemini、最終の仕上げや推敲は ChatGPT/Claude と役割分担するとバランスがよくなります。もし「ブログ用」「研究レポート用」「セールスコピー用」など具体的な用途があれば、それに合わせておすすめの1つと使い方のコツも絞って提案できます。
こちらの引用ではわかりませんが、元データでは、それぞれの文章の末尾に引用元へのリンクもついています。
これだけで一つの記事になりそうなくらい、充実した回答です。検索エンジンで1ページずつ見て回るよりも、調査のスタート地点に一気に立てるのが大きな価値です。
ただし、最終的な判断や重要な仕様確認は、必ず公式ドキュメントなど一次情報も確認しましょう。Perplexityは「調査の入口を作るツール」として使うのが正解です。
資料作成:Genspark(ジェンスパーク)
資料作成で便利なのがGensparkです。
企画書、提案資料、説明用スライドなどを、構成案の作成から、スライドのデザイン化まで一気通貫で行ってこれます。
たとえば、こちらの指示を出してみます。
文章に強いAIを3つ選んで比較した資料をスライド三枚で作って
出力されたスライドがこちら。



このままプレゼンに使えそうなクオリティです。
もちろん最終的な内容の正確性やデザインの調整は人の手が必要ですが、資料作成の初速を上げるツールとしては非常に強力です。提案資料を作る機会が多いフリーランスには、特に相性が良いでしょう。
ただし、Gensparkは無料版ではクレジットがかなり制限されており、調査やスライド作りをするとあっという間にクレジットが消費されてしまいます。本格的に使うなら、有料版にするのがおすすめです。
コード作成:ChatGPT
コード作成ではChatGPTが活躍します。
PHP、JavaScript、Python、WordPress周りなど、幅広い言語・環境に対応でき、次のような使い方ができます。
- エラーの原因を探してもらう
- 処理の書き方を改善する案を出してもらう
- 仕様に合ったサンプルコードを作ってもらう
- 既存コードの意味を説明してもらう
たとえば、こんな指示を入れてみます。
ボウリングの点数集計するプログラムをPHPで作って
出力結果がこちら。
<?php
function calculateBowlingScore(array $rolls): int
{
$score = 0;
$rollIndex = 0;
for ($frame = 1; $frame <= 10; $frame++) {
// ストライク
if ($rolls[$rollIndex] == 10) {
$score += 10 + $rolls[$rollIndex + 1] + $rolls[$rollIndex + 2];
$rollIndex += 1;
}
// スペア
else if ($rolls[$rollIndex] + $rolls[$rollIndex + 1] == 10) {
$score += 10 + $rolls[$rollIndex + 2];
$rollIndex += 2;
}
// 通常フレーム
else {
$score += $rolls[$rollIndex] + $rolls[$rollIndex + 1];
$rollIndex += 2;
}
}
return $score;
}
// ===== 使用例 =====
$rolls = [10, 7, 3, 9, 0, 10, 0, 8, 8, 2, 0, 6, 10, 10, 10, 8, 1];
$result = calculateBowlingScore($rolls);
echo "スコアは {$result} 点です。";
一瞬でたたき台となるコードが完成しました。これはかなり時短になりますね。
もちろん、生成されたコードは必ず自分で動作確認を行う必要があります。セキュリティや品質の責任は最終的に自分にあります。
ChatGPTは「実装スピードと思考整理を助けてくれるサポーター」として使うのがベストです。
フリーランスがAIを使うときの共通注意点
とても便利なAIですが、使う時には注意も必要です。特に、どのツールにも共通して言えるのは以下の3点。
- 守秘義務や機密情報をそのまま入力しない
- 生成物の著作権・利用条件を必ず確認する
- 最終的な責任は自分にあると理解する
AIは「仕事を丸投げする相手」ではなく、作業を速く・楽にするための補助役です。この前提を忘れずに使うことが重要です。
まとめ
今回は用途別おすすめAIツールを紹介しました。
AIは万能ではありませんが、用途ごとに正しく使い分ければ、フリーランスの生産性を確実に底上げしてくれます。
- 文章:Claude
- 画像:Gemini
- Excel:Copilot
- 調査:Perplexity
- 資料作成:Genspark
- コード:ChatGPT
まずはこの中のどれでも良いので、自分の仕事に合いそうなツールを使ってみてください。
大事なのは「AIに任せきりにすること」ではなく、自分の仕事のサポータとして使いこなすこと。それができれば、AIはフリーランスにとって非常に心強い武器になります。





